●父と私

「富家建築事務所」とは建築家の富家宏泰が、京都大学の教師を経て1952年に京都で設立した建築事務所組織です。(のちに株式会社化)公共建築などを数多く手掛けたのち1990年代に会社組織を解消後、富家宏泰個人に戻り活動していましたが、2007年12月、富家宏泰は88歳で惜しくもこの世を去りました。(尚、類似の名称でたまたま建築設計の「冨(ワ冠の)家」氏がいらっしゃいまして「冨家建築設計事務所」を名乗っていらっしゃいますが、富家宏泰、そして息子の富家大器がアーカイブを継承している「富家建築事務所」とは無関係です)

私は狭義の建築の道は歩みませんでしたが、デザインとは建築と不可分であると考えております。そしてこれは叶いませんでしたが、いつか時期が来て私の力量も備わってくればいづれ事務所に入るなど協働の道を歩もうと常々考えていたのでした。また、晩年諸事情で組織を解消せざるを得なくなった際、父の病床で私が「富家建築事務所をいつか必ず再興します」と言うと無言で力強く手を握りかえしてきたのも遠い日の思い出ではありません。父は逆スラブ工法などの特許も持つ構造建築家でしたが、晩年はファンだったと言うオーギュスト・ペレーなどのデザインの話などをいくつか聞かせてくれたのも、良き思い出です。
また建築設計専業であることから、設計監理協会の設立など、建築士の職能確立に尽力奔走していたことも印象に残っています。長く活動していたため幸い現役の作品も多く、今後、回顧展などを順次開催できればと思っています。

●建築デザインと富家建築事務所再生プランについて

組織としての「事務所」は、また宏泰個人はもう存在しません。 私は一級建築士ではありません。しかし、現在もコンタクトのある複数名のもと所員の方をはじめ、チームワークで様々なプロジェクトにあたっていくことが可能です。 建築や空間に関する建築史やインテリアデザイン概論・住居論など大学で教えている経験などを活かし、今後は建築デザインにまで及ぶ活動を行いたいと考えております。

TOMIIEDESIGN 富家 大器